雌雄同体巻貝における交尾行動の進化と性選択
*木村 一貴, 千葉 聡 (東北大・院・生命), Joris M Koene (Vrije University)
繁殖形質の進化において、交配後性選択が交配前性選択に劣らず重要であることが示唆されている。 しかし、交配後のオスメス間の相互作用はメスの体内で生じることが主であるため、その理解は遅れていると言える。 同時的雌雄同体の生物は交配後性選択が強く働くことが理論的に示されているため、 その繁殖形質進化への影響を調べるのに適した材料だと考えられる。 本発表では、雌雄同体のカタツムリの奇抜な交尾行動を例に、 その進化とオスメス間の相互作用がどのように成立しているかについて考えたい。
雌雄同体カタツムリの一部では、交尾時に dart と呼ばれる槍状構造物で交尾相手を突き刺す行動(dart shooting: DS)が知られている。 この類のカタツムリは、1回の交尾において相互に DS を行った後精包を渡しあう。 DS には自身の精子をより多く貯精・受精に利用させ、精子の渡し手の繁殖成功度を増加させる効果があることが知られているが、 精子の受け手の繁殖成功度にどのように影響するかは不明であった。DSを受けることがコストになるのかどうか、 またコストとなるのであればそれへの対抗形質は進化してはいないのかどうか、ということについて紹介していきたい。
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last update: 2013-2-21, open: 2013-2-21
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