捕食者を介して競争する n 種系に見られるランク付け

今 隆介
(九大・理)

08/10/14, 13:30 (理学部3号館6階数理生物学セミナー室)


一見異なる数理モデルも、本質的に同じ振る舞いをすることがある。このような共通した振る舞いは、数理モデルが持つ何らかの共通した構造によるものである。数理モデルの構造と振る舞いとの関係を数学的に定式化できれば、数理モデルの理解に非常に役立つ。たとえば、 Volterra (1928), Levin (1970), McGehee and Armstrong (1977) の研究は競争系でよく見られる競争排除を数学的に定式化し、数理モデルがどのような特徴を持てば競争排除がおこるのかを明確にした。そして、その研究結果は例えばロッタリーモデルの大域的なダイナミクスを理解するのに非常に役立っている。

本発表では n 種の生物がそれぞれ独自の”資源”を持ち、さらにそれらが1つの共通した”資源”をめぐって”競争”している場合に見られるランク付けについて考え、その数学的な定式化について現在研究していることを紹介する。具体的には次のことを紹介する。
Shigesada, Kawasaki and Teramoto (1984) は競争系の Lotka-Volterra 方程式において競争係数が干渉因子と感受性因子に分解できる場合に、n 種がランク付けされ、共存する場合には必ずランクの上の種から共存できることを明らかにした。この結果は一般的な Kolmogorov 方程式にも拡張でき、さらに、共通の捕食者を介して競争している系(見かけの競争系)においても同様な現象が見られることを紹介する。


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