A quantitative genetic model for geographic differentiation of dart-poison frogs in Panama: Can mate-choice enhance random drift?


Sam Tazzyman
(University College London)

Yoh Iwasa
(Department of Biology, Kyushu University)

09/5/26, 13:30 - 15:00 at Room 3631 (6th floor of building 3 of the Faculty of Sciences)


中米にすむカエルDendrobates pumilio(strawberry poison-dart frog)は強力な毒をもち、原住民が毒矢に用いる。同時に捕食 者に対して目立つはでな体色をしている(警告色)。中米全域では1つの体色タイプが占めるのに対して、パナマのBocas del Toro諸島では、小さな島ごとに体色が異なり約15の表現型に別れている。雄は子の世話にはほとんどたずさわらず雌による配偶者選 択が長時間にわたる。 これに対して同じ諸島に分布する近縁種の毒カエル2種は、中米本土と同じ体色をしている。これらでは雄が子の保護を行い、雌雄の子の世話にかけるコストがほぼ同じで雌の配偶者選択はそれほど強くない。
近縁2種と違ってD. pumilioだけが島ごとに異なる色に分化している理由として、雌による配偶者選択がはたらいたとする仮説がある[1]。島の個体数は小さいために体色に関するランダムドリフトがはたらく。雄の体色に対する雌の配偶者選択がはたらく状況では、体色に対する性淘汰がはたらくことによってこの色に関するドリフトが強められ、島ごとに異なる体色になったとする説明である。
 本研究はそれを量的遺伝モデルによって解析する。その結果、「配偶者選択の遺伝分散が体色のものよりも大きく、他方で配偶者選択の効率が高くそのコストははるかに小さい」という状況では体色に関するランダムドリフトが性淘汰によって強くはたらくようになることが示された。


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