反応拡散モデルのスパイラルパターンと心臓の拍動異常

坂口 英継
(九大・総理工・量子プロセス理工学)

03/02/18, 13:30 at Room 3631 (6th floor of building 3 of the Faculty of Sciences)


心臓は通常規則正しく拍動しているが、不整脈が起こると拍動 が速くなったり遅くなったりします。心室細動と呼ばれる極端な 不整脈状態では心臓の各部が無秩序に速く振動することが知られ ています。この状態は放置すると死に至る危険な状態であり、 拍動を正常にもどすために、緊急処置として電気ショックが与え られることがあります。
拍動が速くなる原因としてリエントリ-と呼ばれる興奮の核が 何らかの原因で生成されことが考えられています。反応拡散系の スライラルパターンの中心核はこの興奮波のリエントリ-の役目 を果たしています。心室細動状態は興奮核が自発的に多数生成さ れるスパイラルパターンのカオス化と似た興奮波動のカオス化現 象ではないかと考えられています。
AlievとPanfilovにより提案された2変数の反応拡散モデルの 計算機シミュレーションの結果を紹介し、スパイラルパターン のカオス化の機構と、電気ショックなどに対応する外力を加え ることにより、スパイラルカオスを除去する方法を考察します。
時間があれば、別の話題として、階層構造の自己組織化のモデル の話を付け加えます。ロトカ-ボルテラ方程式のようなモデルを 使って、本来同等な多数のelementが相互競合の結果、階層的な 構造に分化することを示します。


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