シグナル分子の少数性による揺らぎの抑制と利用

森下 喜弘
(東京大学・新領域創成科学研究科)

04/12/21, 1:30 at Room 3631 (6th floor of building 3 of the Faculty of Sciences)


近年、定量的な実験を通じ、細胞内において同種の分子がごく少数しか存在しな い状況が多く存在することが知られるようになった。この分子の少数性は遺伝子 発現過程をはじめ多くの化学反応系において大きな揺らぎをもたらすため、シス テムダイナミクスを理解する上での重要な因子の一つと考えられている。 本発表では、分子の少数性に起因した揺らぎを、抑制と利用という二つの側面か ら議論する。前者では、特に遺伝子発現過程の揺らぎに注目し、揺らぎの生成メ カニズムと抑制方法を提案する。後者では、多くの生物に共通して現れるネット ワーク構造に注目し、ケーススタディーを通じて揺らぎが細胞内情報処理におい て積極的役割を持ちうることを示す。


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