二年草同齢集団にみられた時期で異なった
死亡要因の解析

鈴木 亮(東京都立大学・理・生物)

5月25日 (火) 午後1:30から
理学部3号館 6階 3631 数理生物学セミナー室


 
 草本植物の個体の死亡がどのような要因によっておこるのかをしらべるため、集
団の追跡調査を行った結果、調査対象となった個体群において、主に夏と冬の2つ
の時期で大量の個体が死亡している現象が観察された。死亡に影響を与える要因と
して(1)個体サイズ,(2)近隣個体数(ローカル密度),(3)個体が生息する場所の局所
的な性質を考え、2つの時期での死亡がそれぞれどのような要因によっておこった
のかを検証した。
 その結果、死亡要因は時期によって異なり、夏はサイズ,密度依存的な死亡がおこ
ったが、冬はその傾向は見られず、死亡は場所ごとにまとまっておこるといったサイ
ト依存的死亡であった。
 以上から、調査区の空間には生育可能なミクロサイト(safe site)がパッチ状に点
在していると推測される。 

用語解説
一回繁殖型植物:生涯に一度しか繁殖をせず、繁殖後は必ず枯死する植物
二年生草本:種子発芽から繁殖後枯死するまでの一世代の期間がおもに2年以内で終
了する生活史を持つ草本
Safe site(生育適地):生物が生存,生育可能な場所.