植物ウイルスに対する宿主抵抗性戦略



植物に感染したウイルスは植物体内で増殖・拡散していく。ウイルスは宿主細胞内で移行タンパク(MP)を合成し、ある閾値に達すると、これが細胞間の原形質連絡を押し広げる。このことによってウイルスの細胞間移行が可能となり、未感染細胞への新たな感染が起こる。よって、ウイルスの個体群動態は密度依存拡散方程式に従う。 一方、宿主植物はウイルス感染に伴い活性酸素を生成し、それによって感染細胞とその周辺細胞が壊死してウイルスを局在化させ、植物体内への拡散を免れる(過敏感細胞死:HR)。 そこで、ウイルスの細胞間移行と植物のHRの動態を空間1次元の拡散反応方程式で表し、植物のウイルスに対する防御戦略について調べたところ、活性酸素生成から細胞死までの時間に最適値が存在することがわかった。





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