SIRモデルの話

 このモデルは疫学のモデルとして古くから研究が成されてきました。私が詳しく述べるまでもないのですが、簡単に紹介すると、S(病気に感染する可能性のある個体)、I(感染個体)、R(回復個体)の個体数密度を追いかけるというモデルです。
 非常に簡単なモデルですが、いろいろなところで用いられています。解析も簡単
 ところが、例えば感染率が季節的に変動するようにモデルを少し変更すると。モデルの挙動がとたんに複雑になります。季節振動が弱いと、季節振動と同じ1年周期の解が現れますが、強くしてゆくと2年、4年・・・と言った周期が現れてきます。つまり、分岐が生じるわけですが、3年周期や5年周期、等の素数周期も出てくるので、ただ単に分岐の話だけでは理解できません。
 非線形の効果を考慮しなくてはならないので、私の技量だけではとうてい理解できない世界であると、ちょっと弱気。

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 分岐図、一年のとある時期の感染固体の密度が縦軸、横軸が季節変動制の強さ。1年周期だと、毎年同じ値になるが、2年周期だと、1年おきに同じ値が現れる。点の色がそれぞれの周期に対応。10年以上は灰色で表示。面白いのは同じ変動の強さでも、1年周期になったり2年周期になったりするところ。
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