多抗原型共存ウィルスの感染動態予測のために -その1- 感染率に季節変動制がある場合

加茂 将史(九大・数・生物)

01/09/04, 13:30- at Room No.3631 (6th floor of the 3rd building of the Faculty of Sciences)



 感染動態を表すモデルとして、SIRモデルが伝統的に用いられている。これは感受 性個体が感染者に接触するとある感染率で感染させられるという非常に単純なモデル である。  このモデルの感染率に季節振動(一年周期で)を加えた場合、当然、感染動態も季 節振動を示すようになるが、季節振動生の強さにより動態の様相が異なることが知ら れている。感染率における季節振動が弱いと、動態も一年周期であり、季節振動を強 くするに従い、動態は2年、4年、8年周期、さらにはカオス的な挙動を示すのであ る。  本研究では、従来の一種系SIRモデルを多種系に拡張した。例えば、病原種1に感 染することにより獲得した免疫応答が種2にもある程度有効である場合がある。これ は交差免疫と呼ばれており、この交差免疫の強さが動態にどのように影響を及ぼすか を調べた。  結果は、季節振動性の強さに対する影響は1種系SIRモデルと基本的に同じである が(つまり分岐がおきる)、交差免疫の強さにより分岐の様相が異なることがわかっ た。