本園怜 (九大・理・生物)
01/11/05, 13:30- at Room No.3631 (6th floor of the 3rd building of the Faculty of Sciences)
高血圧による病気(脳卒中等)の発症を防ぐため、危険な高血圧の人は早めに 発見し、治療を施さなければならない。 しかし、医療費の経済的な制約も受ける。そこで、両者の適切な妥協点を探るための 数理モデルを作る。 モデルは、年令、血圧、治療の有無を状態変数としてコホートの状態変化を記述する 偏微分方程式を用いる。血圧は年令に関して指数的に上昇し、脳卒中の発症率は血圧と 年令のべき乗になっている。治療状態に移る遷移確率はある血圧以上の者の何割かが治 療を受けるというものにしている。 このモデルを元に、単位時間当たりの脳卒中発症数と、投薬人口(即ち医療費)とを 記述し、これらの適切な妥協点を探る。 また、病院で測定すると血圧が上がるという「白衣効果」の影響に関しても検討す る。 これを考慮に入れた測定値をどの程度に設定するかは、本当は高血圧ではないのに、 高血圧と診断されるもの(偽陽性)と、逆に、本当は高血圧なのに正常であると診断 され るもの(偽陰性)との重みの設定によって決定される。 ここで、その解析は高血圧と診断する閾値付近のグレーゾーンの人の追跡調査のみに よって可能であることが分かった。これにより、大幅な調査のコスト削減が実現され る。 現在、実際のデータからこれを試算する段階に入っている。 |