疫学パラメーターが病原体の系統樹に与える影響について(YSSPへのいざ ない)

川口勇生 (九大・理・生物)

01/11/06, 13:30- at Room No.3631 (6th floor of the 3rd building of the Faculty of Sciences)



分子生物学的手法の発達により、現在様々な病原体の系統樹が作成されている。例え ばデングウイルスは4つの異なる抗原亜型が初期の段階で大きく分かれ現在にいたる ような系統樹を持っており、また、インフルエンザウイルスは1つの大きい幹から毎 年違う系統が供給されているような系統樹を持つ。病原体の系統樹はそれぞれが特徴 的な形をしており、また病原体はそれぞれ固有の疫学パラメーターを持つ。本研究で は疫学パラメーターが系統樹に与える影響について、疫学動態モデルの基本モデルで あるSIRモデルを多種系に拡張し、研究を行った。

病原体の系統はそれぞれ抗原決定部位の配列によって決まるとし、宿主は病原体の系 統に対してそれぞれ、感受性、感染、回復の3状態を取るとする。多重感染に対しては、 交差免疫が抗原配列の相同性に応じて働くとする。本セミナーでは、感染率、回復率、 病気による死亡率の3つのパラメーターを変えたときに、どのような系統樹がえられ るのかを、個体ベースのシミュレーションにより示す。また、統計量を用いて、系統樹 の形を議論する。