木村 誠二 (九州大学大学院数理学研究科数理学専攻)
多項式による関数近似法は応用数学の長い歴史を持つ分野の一つであるが、その誤差評価は常にその方法と同様に重要な問題としてとらえられてきた。偏微分方程式の近似解法としての有限要素法は、区分多項式を用いるという点で多項式近似の一種としてとらえることができ、また、区分多項式の分割数、次数の増加に従って近似解が真の解に近づくことを保証する意味でその a prioriな誤差評価が意味を持つことになる。もちろんそれだけでなく、誤差評価には近似解の信頼性を理論的に明確にするという目的もある。
今回のセミナーでは、基底が1次多項式であるとき、つまり滑らかな関数を「折れ線」で近似したときの最良誤差評価定数の導出と、有限要素法との関連の説明、さらに高次の区分多項式を用いた場合についての新しい結果の紹介を行う予定である。