ことなる集団(種)の絶滅リスクを束ねる
巌佐 庸(九大・理・生物・数理生物)
4月28日 (火) 午後1時30分より
九大理学部3号館 6階 3631
数理生物学セミナー室
保全政策を決定しようとするときに、別々の集団の絶滅リスクをまとめて全体とし
てのリスクを評価することが必要になる。セミナーでは、絶滅待ち時間Tがそれぞれ
の集団について推定できた場合に、絶滅待ち時間の逆数を加える規準と、絶滅待ち時
間の対数を加えあわせる規準のいずれがすぐれているのか、から話をはじめる。この
問に答えるために、より一般的なリスク規準についての考察を進める。その結果、(
1)生存した集団の多様性を測定する時間スケール、(2)政策は、一旦決めると変
更できないのかコストなしに変更できるか、(3)1集団でも残っていればよいとす
るのか、生存集団数に比例して価値があるとするか、の3つによって、最適の束ね方
が違ってくることを示す。また地理的遺伝変異を考慮するための系統樹として取り扱
う方法も議論する。