魚類の網膜上では異なる波長(青,紫外線,緑,赤)に感度のピークをもつ4種類の錐体細胞が,規則正しく並んだモザイクパターンをつくる.たとえばゼブラフィッシュの錐体モザイクでは正方格子上に4種の錐体細胞が規則正しく配置されている.このような規則正しいパターンをつくるメカニズムについて多くの分子生物学的アプローチがなされていが,まだ明らかではない.
未分化の細胞が隣接する細胞と相互作用しながら分化,脱分化を繰り返し最終的にそのような規則正しい配列を形成する,という仮説に基づいた数理モデルを解析した.緑感受性と赤感受性の錐体細胞のペアからなるdouble coneをひとつのユニットと考えることで,局所相互作用のみで規則的パターンが安定に再現できることを確かめた.またパターンが規則的であるためには,細胞間の相互作用のパラメータが特定の関係を満たす必要があることを確かめた.