造礁サンゴにおける種内変異 群体形&卵サイズ
向 草世香(九大・理・生物・数理生物)
6月16日 (火) 午後1時30分より
九大理学部3号館 6階 3631
数理生物学セミナー室
1)群体形の変異
ハマサンゴの一種(Porites sillimaniani)は、光が弱いと横にひろがる盤状、光が強いと枝分かれがおこる樹枝状、その中間では突起ができる複合型の群体形を持つことが知られており、光環境への適応を群体レベルで行っていると考えられる。
そこで、2次元平面上で骨格をモデル化し、その表面を一様に覆うポリプ(個虫)が受ける光量を各々計算した。各ポリプが生存するためには一定量以上の受光量が必要であるとし、様々な光条件下で生存ポリプ数を最大にする最適パターンを求めた。
その結果、野外で見られるP.sillimaniani の群体形は、与えられた光環境下で最も光資源を多く受ける形を取っていることが明らかとなった。
2)卵サイズの変異
テーブル状サンゴの代表種として広く分布するクシハダミドリイシ(Acropora
hyacinthus)では、大きな群体ほど大きな卵を作ることが報告されている。一般に、最適卵サイズは一定であり、最適卵数が繁殖投資量に比例して増えると言われているが、本種ではなぜそうならないのか?sperm
limitation 仮説を中心に、様々な仮説に関して議論する。