予測不可能な撹乱に対して生物はどのような戦略を進化させているのだろうか？本研 究では，生物の中でもとくに植物の繁殖タイミングの問題に焦点を当て，予測不可能 な撹乱環境下で植物はいつ繁殖を開始すればよいかを理論的に明らかにする．
　確率的に撹乱される多数のパッチから構成される植物集団を想定し，撹乱以降に繁 殖した個体は撹乱以前に繁殖した個体にくらべてほとんど種子を残せないと仮定する．
　その結果，毎年ほぼ決まった時期に撹乱が生じる場合には平均撹乱日以前に繁殖を 終える「慎重派」戦略が進化的に安定，撹乱時期がやや分散している場合は慎重派と 撹乱を無視して種子生産量が最大になる時期に繁殖する「無謀派」戦略の二型が維持 ，撹乱時期の分散が大きい場合は中間派が進化的に安定，となった．