新型インフルエンザ流行のシミュレーション
徳永章二(九州大学・医学部・公衆衛生)
11月10日 (火) 午後1:30

 日本で新型インフルエンザが流行した場合について、いくつかの想定の下で発病総数 、発病率等の時間的推移をKermack-McKendrick modelを応用して、コンピューター・ シミュレーションにより推定した。
 今回のシミュレーションでは、多くの仮定や想定が必要となったので、過大な推 定を避けるよう努めた。にもかかわらず「アジアかぜ」程度の発病率の流行が一山型 で起これば、医療供給体制への負担や社会的影響は非常に大きいと予想される。また 、流行のもたらす死亡者数も深刻なものになると予想される。
 シミュレーションの結果からも、理論的にも経験的にも、発病率(発病した患者の 全人口に占める割合)の高くなる流行では発病率の上昇速度も速くなる事が示された 。発病率の高い流行の場合、ワクチン接種などの予防対策は、穏やかな流行の時より ずっと迅速に行う必要があると予想される。