保全のアダプティブマネジメント:
不確実性にいかに対処するか

山下 仁(九大・理・生物・数理生物)

7月13日 (火) 午後1:30から
理学部3号館 6階 3631 数理生物学セミナー室


 
絶滅の危険のある個体群に対して保全政策を考えるとき、施策の効果、モニタリング、
個体群ダイナミクスなどに常につきまとう不確実性に対処していかなければならない。
アダプティブマネジメントでは、このような保全する対象の不確実性に対処するため、
(1)施策により得られる保全する対象についての情報、と(2)施策自体が持っている保
全の効果、の両方を狙った政策決定を動的に行っていく。
今回は、生存率に確率的なノイズの加わるような個体群を仮定し、これに対して、
絶滅確率の期待値と施策のコストの和を最小化するような政策をダイナミックプログ
ラミングを用いて求めた。また、施策の効果や個体数、ノイズの分散といった不確実
なパラメータの推定精度が政策決定や絶滅確率におよぼす影響を感度分析により評価
し、これらの不確実なパラメータについての情報を得ることの必要性を考察した。