異なる抗原タイプの共存可能性~デングウイルス~

川口 勇生(九大・理・生物)

9月14日 (火) 午後1:30から
理学部3号館 6階 3631 数理生物学セミナー室


 デング熱は東南アジアや南アメリカなどの熱帯、亜熱帯地方で周期的に流行する感 染症である。デング熱を引き起こすデングウイルスには4つの異なる抗原型があり、 相同性が低いため交差免疫反応が完全には成立せず、1つの抗原型に感染しても別の 抗原型に再感染することがある。この再感染時には症状が重症化し、死亡率が増加す るエンハンスメントが知られている。本研究では2種系に拡張したSIRモデルを用い て、交差反応の強さとエンハンスメントが、異なる抗原型の共存にどのように影響す るかを解析した。
 集団に2種の抗原があり、それぞれに対してホストは未感染(S)、感染(I)、免疫保 持(R)の状態にあるとする。下図の時間変化を考えて、1つの抗原型が平衡に達して いる集団への別の抗原型の侵入可能性を解析し、2つの抗原型の共存条件を求めた。
 結果は(1)交差反応がない場合は2種はエンハンスメントがなくても共存する、 (2)交差反応があると共存しにくくなるが、このときエンハンスメントがあると共 存を促進することがわかった。つまり2つの異なる抗原型の共存には、再感染時にお ける死亡率の増加が必要であると言える。