島谷健一郎(Michigan State University,Department of Forestry )
12月13日 (火) 午後1:30から
理学部3号館 6階 数理生物学セミナー室
ある個体群に対して、各個体の場所の地図を作成した上でそれらの遺伝子型を分析し、
遺伝子の平面分布について考察する研究は現在、大流行中です(例、Berg & Hamrick 1
995 Evolution, 日本では Kawano & Kitamura 1997等)。しかし、そこで使われてい
る手法は、やや不満足感をいだかせるSpatial statistics や、全個体が平面latticeに
あると仮定したシュミレーションによる結果等、まだまだ未発達の段階にあります。し
かし、平面上の遺伝子分布は、確率過程における Marked point process の格好の応
用例になり得ます。花粉、種子、遺伝子の分布が確率の法則に従うという仮定の下、(
汎)関数を適当に定義して分布パターンの傾向を示す統計量として使ったり、モデルを
作って検証したり、そこから種子や花粉の運搬距離を推定できる可能性もあります。
現段階では、まだまだよくまとまった結果を得るには至っていませんが、とりあえず
初歩的なモデルとその実際のデータでの検証が少しできました。それで、遺伝子に限ら
ず、より長い歴史を持つ樹木やその直径・樹種の分布パターンの(私の知る範囲内での
)今までに行われた研究結果の話も交えてお話したいと思います。 |