反応拡散方程式のパターン形成:空間異方性を考えたシュミレーション

昌子 浩登(九大・理・生物)

12月21日 (火) 午後1:30から
理学部3号館 6階  数理生物学セミナー室


化学反応や形態形成などで、空間的に一様な系から、要素の相互作用と拡散によっ て不均一なパターンが形成される過程を扱った数学モデルとして、チューリング拡散 不安定性が研究されている。
 近藤(1995)は、タテジマキンチャクダイの表皮の模様の形成は、チューリン グのメカニズムによっている可能性を提唱した。
 実際の魚の表皮のパターンは、常に一定方向にそろった縞模様であり、そのような 定方向性を説明できるモデルが必要である。
 本セミナーでは、以下の2つの方法で空間の直交する2方向に異なる性質を与えて チューリングの拡散反応方程式を数値解析した。
(1)格子空間の縦横サイズ比
(2)物質拡散の異方性
(1)からえられる現象として、縦横比が一定であっても全体の空間サイズに依存し て模様が変わってくることがある。(2)から、異方性の効果を強くすることによっ て不安定な構造が得られることや、タテジマキンチャクダイの幼生期の模様が、シミュ レーションによって再現できることを報告する。