昌子浩登(九州大学・理・生物)
7月14日 (金) 午後1:30から
理学部3号館 6階 数理生物学セミナー室
多くの熱帯魚では種によって定まったストライプパターンを持って
いる。Kondo & Asai (Nature, 1995)はこれらのうち、タテジマ
キンチャクダイの表皮パターンに対し、Turingの拡散不安定性に
基づくモデルを提唱した。これによると、拡散性の活性化物質と、
抑制物質の相互作用により、空間的に一様な系から周期的なパター
ンが形成される。しかし、ストライプ模様を持つ多くの魚の場合、
ストライプの方向は種によって常に決まった方向にそろっており、
単純な Turing 機構だけでは説明できずモデルの拡張が必要である。
魚の表皮を見てみると,鱗が特定の方向にそろって生えているため 前後方向と背腹方向とで、体表の構造が異なっている。この事実に 基づき、下の2つのモデルに対し、体表の前後と背腹で物質の拡散 速度が異なる異方的拡散を考慮したモデルを考え、解析した。 (1)Schnakenberg Model (2)Giere-Meinhardt Model それぞれ、活性化物質が特定の方向に拡散しやすい性質を持つとき は、その方向に対し平行にストライプができやすく、抑制物質の拡 散しやすい方向には垂直にストライプができやすいことが分かった。 しかし異方的拡散を活性物質と抑制物質の両方に同じ大きさで入れ た場合、ストライプを特定の方向にそろえる効果が消えるというこ とがわかる。 |