Switchingする遺伝子ネットワークが作る細胞分化状態
Number of cell states does not depend on number of genes

望月 敦史
(基礎生物学研究所・情報生物学研究センター)

03/08/08, 11:00 at Room 3631 (6th floor of building 3 of the Faculty of Sciences)


遺伝子の発現は、転写調節因子のそれぞれが存在するか否かの組み合わせによって 厳密にコントロールされており、いわば発現調節領域において論理計算が行われてい る。発生過程においてこのような遺伝子が多数相互作用する結果、複雑な体制や多様 な細胞分化状態が実現されると考えられる。遺伝子ネットワークを一般的に扱える常 微分方程式モデルを考え、解析した。各遺伝子の発現レベルの高低によって多数の発 現状態が考えられるが、それぞれの状態に対して各遺伝子が発現レベルを切り替えで きるとした。このような複雑なネットワークの解析は困難だが、今回主要な平衡状態 を分類し、解析することができた。これらにより実際に観測される平衡状態のほとん どが説明できる。さらに、ランダムに構成されたネットワークにおける各タイプの平 衡状態数の期待値を厳密解として得ることができた。その結果、次のような結果を得 た。(1)平衡状態(分化状態)の期待値は遺伝子数に依存せず非常に小さい。 (2)一つの遺伝子に作用する他の遺伝子の数にも依存しない。むしろ(3)平衡状 態の数は自分自身を転写調節する遺伝子の数によって増加する、と分かった。つま り、進化の過程における遺伝子数の増加は、体制の複雑化の直接の原因ではない。

Gene expression level is under strict regulation controlled by the level of transcriptional factors. A gene network, which consists of such logic functions of genes, gives rise to various states of cells or differentiated cells in body of multi-cellular organization. I developed a dynamical model for gene networks that include lots of genes of logical behavior. I could analyze the equilibrium states of this complex system. The equilibrium correspond to static states of cells. The expected number of equilibrium of randomly generated network could be determined strictly. I found that (1) the expected number of equilibrium does not depend on number of genes, (2) nor number of other input genes. It means that increase of genes does not directly cause the complexity of the body.


Back: Japanese / English