1琉球大学大学院理工学研究科海洋環境学専攻, 2琉球大学理学部海洋自然科学科, 3沖縄科学技術大学院大学神経発生ユニット
2020/06/19, 13:30 -, at Microsoft Teams (online seminar)
サンゴ礁域に生息する生物は月相に合わせた周期的な産卵リズムを示す。月周性産卵と呼ばれるこの産卵様式においては、種ごとに決まった産卵月相に向かって配偶子形成が進行することで、同調的な産卵現象が起きることが知られている。しかし、月周性産卵を示す生物がどのように月相変化を認知し、生殖周期を同調させているのかは分かっていない。先行研究から、産卵の同調においては月光が重要な役割を担うことが示唆されているが、その詳細については不明な点が多い。そこで、本研究は魚類の月周性産卵の生理学的なメカニズムを明らかにすることを目的として、満月に産卵するハタ科魚類カンモンハタEpinephelus merraを用いて実験を行った。その結果、月周性産卵は月光を同調因子にもつ生殖機構と計時機構の相互作用によって誘導されることを示唆し、産卵の時刻合わせにおいては時計遺伝子cryptochromeが一端を担う月周時計が関与する可能性を示した。