数理生物学研究室イメージイラスト

Germany & Poland 2024

ドイツのハイデルベルグで行われた時間生物に関する国際シンポジウム「EMBO|EMBL Symposium: Biological oscillators: rhythms and synchronization across scales」に参加し、その後ポーランドのポズナンにあるAdam Mickiewicz University を訪問しました。

旅程 ドイツ (レポート担当:M2 工藤)

福岡から羽田を経由し14時間のフライトを経てドイツのフランクフルト空港に到着、そしてそこからドイツ南部の都市ハイデルベルクへ向かいました。ドイツと日本は8時間の時差があり、初日は時差ボケで夜中の2時(日本は朝の10時)に目が覚め、今回のシンポジウムの主題の一つである概日時計の存在を改めて実感しました。

EMBL|EMBO シンポジウム

シンポジウムはハイデルベルク郊外の山麓にあるEMBL|EMBO Advanced Training Centerで行われました。
初日は生態学における空間的な同調現象を長年研究するAlan Hastings教授による講演や、音声や遺伝子発現など幅広い振動現象の理論的研究を行うHanspeter Herzel教授による講演を聞きました。特に、Herzel教授による講演は板書を用いたレクチャー形式で行われ、海外の授業に参加するのが初めての自分にとっては、とても新鮮でした。コーヒーブレイクの時間には先生方とお話しする機会があり、自分の研究内容について紹介し議論することができました。
二日目と三日目にはフラッシュトークとポスター発表がありました。微生物の運動から神経ネットワーク、遺伝子制御、地衣類の菌類と藻類の時計、森林における害虫の発生まで、テーマは多岐にわたっていました。特に、数理モデルを用いた理論的な研究も多く、自分の興味に近い研究がたくさんありました。
今回のシンポジウムは、スケールも手法も異なる幅広い研究者が、生物リズムという共通言語のもと、活発に議論・交流しており、参加できてとても良かったです。また、同年代の研究者の話を聞いて大いに刺激を受けることができました。今回得た経験やネットワークをさらに広げ、今後の研究に活かしていきたいです。

ハイデルベルクの旧市街には教会をはじめとした歴史的な建造物が数多く残っています。
ハイデルベルクの東部に位置するハイデルベルク城は世界的に有名な古城であり、建築的な美しさに加え、崩れた城門や城壁は過去の栄枯を感じさせます。
旧市街には数多くのレストランがあり、ソーセージ、ザワークラウト、ドイツ風のカツレツであるシュニッツェルなど、ドイツの伝統的な料理が食べられます。
会場となる建物はDNAの螺旋構造を模した近代的かつユニークなデザインでした。Advanced Training Center (ATC)というDNAの塩基にちなんだ名前がついています。ちなみに、ATCの脇にはmissing GというアルファベットのGの形をしたオブジェがあります。
EMBLの施設の裏にある森林を歩くハイキング。巨大なヨーロッパブナの木々を見ることができました。

ドイツ→ポーランド 移動 (レポート担当:D1 中溝)

さて、シンポジウムを終え、翌日はポーランドのポズナンに向かいました。ドイツからポーランドまでは飛行機で90分ほど。入国審査のようなものは無かったので、まるで単に県をまたいでいるだけかのように感じました。ポーランド初日は完全に移動日で、ホテル到着の16時から夕食の18時までの隙間時間に周辺を少し散策しました。ホテルのすぐ近くに芝生のサッカーコートがあり、そこでサッカーの試合が行われていました。応援席にいる人たちがブラボーと大声で叫んだりしており、とても楽しそうでした。

Valentin先生、Michał先生の研究室訪問

佐竹先生の共同研究者であり、森林生態学をご専門とするValentin先生、Michał先生の研究室を訪問するために、Adam Mickiewicz Universityに行きました。大学の建物内には観葉植物が多くあり、九大よりもフレッシュな雰囲気を感じました。お二人とは、樹木の日長や気温などに対する応答と概日リズムの関係についての討論や、自身の研究紹介を行いました。研究紹介を行うと(私は蝶の群集動態における季節性について研究しています)、Valentin先生から興味を持っていただき、その後に参考になりそうな文献の情報を多く紹介していただきました。自身の研究を紹介することの大切さをすごく実感しました、とても有意義なものであったと思います。
また大学訪問の最終日には、佐竹先生が他の研究室の方も公聴される場でセミナーを行いました。セミナー後に佐竹先生に話しかけていた方が、なんと蝶の研究をする方で、突然でしたが、その方の研究室にも訪問させてもらいました。私が扱う蝶は沖縄の蝶類ですが、その方はウガンダの蝶類について扱っており、両者の季節的な個体数の変動パターンは全く異なっていたのがとても面白かったです。連絡先も交換でき、今後も関係を続けられると思うととてもワクワクします。自分の研究を発展させられるように良い関係を築けたらと思います。

最後に

私にとっては初めてのヨーロッパでしたが、なんとか多くの方と交流することができました。一緒にお話した方は皆さんとても優しく、私の拙い英語をちゃんと聞いてくれました。うまく言いたいことを英語で表現できない時も、「つまり、〜ってこと?」と聞き返してくれたので、とても助かりました。次に海外に出張する時は当然もっと英語を上達させた上で行きたいですが、不得意だからといって海外に行ってはいけないということでは全然なくて、多少はなんとかなるものなんだなと思いました。連れて行ってくださった佐竹先生や、事務手続き等をサポートしてくださった秘書の田中さん、その他渡航に関わってくださった方々にとても感謝しています。今回得たものを活かせるように研究を進めていきたいです。

ポズナンのホテル近くで行われていたサッカーの試合。中学生くらいの年代ですが、青のチームはゴールキックの際にキーパーからのビルドアップに取り組んでいるようです(赤チームのDFの身長が高かったので、ロングボールをなるべく放らない選択をしているのかも?)。CBが1枚剥がしてから中盤やFWの選手にパスをしていましたが、パスの受け手にはあまり時間が供給されていないようで、すぐに詰められてボールを奪われてしまう展開が多かったです。スコアはおそらく4-0で赤チームの勝ち。
ポズナン旧市街広場
ハイデルベルクとはまた違った、カラフルな住居。
ポズナンの普通の市街はこんな感じ。
ポズナンには日本食のようなお店が多かったです。本当に日本食かは怪しいですが。。。
Adam Mickiewicz Universityの写真。