分子季節生物学
私たちの住む地球は、地軸が傾いた状態で太陽の周りをおよそ1年で1周のスピードで回っています。こうした地球の公転によって、北半球の中緯度に位置する日本では、温度と日長が一年の間に周期的に変化し、季節が生まれます。一方で、季節的変化の小さい赤道付近の熱帯地域では、極めて多様な生物が生息し巨大なバイオマスを有する生態系が広がっています。このような環境の季節変動の違いに対して、生物はどのように適応し進化してきたのかを明らかにし、将来を予測することを目指して、季節生物学と数理生物学を融合した学際的な研究を進めています。
ゲノム科学・量的遺伝
私たちがそれぞれ、髪の色、体形、病気のかかりやすさなどに違いを持っているように、地球上のほぼ全ての生物種にはさまざまな個性(種内の多様性)が存在しています。このような多様性は、DNA配列の違いと環境の影響によって作り出され、生物の進化の源になっています。一方で、どのようなDNA配列の違いが翻訳され、どのような分子機構で多様性が作り出されているのかという多様性の制御メカニズムは、ほとんど明らかになっていません。この問いに応えるために、私たちはモデル植物シロイヌナズナや近縁種のハクサンハタザオ自然集団などを研究のモデルとして、ゲノミクス、量的遺伝学、分子遺伝学などさまざまなアプローチで、個体間の形質の違いを作り出すDNA配列の違いとその重要性、遺伝子の機能を研究しています。
形態進化
自然界に存在する生物の「かたち」は多様ですが,どのような「かたち」でも出現・存在できる訳ではありません.こうした多様性と保守性をあわせもつ生物の「かたち」の進化を究極要因と至近要因の両面から定量的に理解するべく研究に取り組んでいます.対象やスケールは多岐にわたり動物,植物,人工物などの細胞内構造から群落までと様々です.さらに,その過程で生まれた「かたち」を定量化・モデル化するための理論や技術を農学や医学,材料科学,考古学など多様な分野へ応用し,分野横断的な研究を展開しています.