1998/4/28
13:30 -, at 九大理学部3号館 6階 3631
ことなる集団(種)の絶滅リスクを束ねる
九州大学理学部生物学科
巌佐 庸
保全政策を決定しようとするときに、別々の集団の絶滅リスクをまとめて全体としてのリスクを評価することが必要になる。セミナーでは、絶滅待ち時間Tがそれぞれの集団について推定できた場合に、絶滅待ち時間の逆数を加える規準と、絶滅待ち時間の対数を加えあわせる規準のいずれがすぐれているのか、から話をはじめる。この問に答えるために、より一般的なリスク規準についての考察を進める。その結果、(1)生存した集団の多様性を測定する時間スケール、(2)政策は、一旦決めると変更できないのかコストなしに変更できるか、(3)1集団でも残っていればよいとするのか、生存集団数に比例して価値があるとするか、の3つによって、最適の束ね方が違ってくることを示す。また地理的遺伝変異を考慮するための系統樹として取り扱う方法も議論する。