数理生物学研究室イメージイラスト
1998/5/19 13:30 -, at 九大理学部3号館 6階 3631

ゲノムインプリンティングの数理モデル - 対立遺伝子多型の実現-

九州大学理学部生物学科 武田裕彦

哺乳類におけるゲノムインプリンティングを調べるにあたり、数理モデルの枠組みの上で、刷り込み多型が種間(Igf2r)、種内(WT1)などで観察される原因を明らかにするために、流産のリスク、胎児間競争などの階層的な淘汰の総合を,可変な変数を持つマルコフ遷移行列で表わし、パレト面に沿った離散力学系の技法によって遺伝子刷込みの実現解を明らかにすることを考えます。 統計力学の枠組みを用いて、世代数 >> 1 で起こる状況をアンサンブル平均、分散として評価します。エピジェネティック過程に関わる遺伝子群はネットワークを形成し、胚のvulnerabilityはその胎児の発達過程に強くカップリングしている。このことから境界条件として、 [1]mitotic recombination (chromosome shuffling) [2]accidental occurrence of deamination of 5-methyle C in CG islands によってもたらされるLOHを評価することで、形態形成において細胞レベルで果たしている機能に応じて、Risk-Competitionを軸にプロットした相図のどの位置にその遺伝子が落ちるかが決まります。