数理生物学研究室イメージイラスト
1999/5/25 13:30 -, at 九大理学部3号館 6階 3631

二年草同齢集団にみられた時期で異なった死亡要因の解析

東京都立大学・理・生物 鈴木 亮

草本植物の個体の死亡がどのような要因によっておこるのかをしらべるため、集団の追跡調査を行った結果、調査対象となった個体群において、主に夏と冬の2つの時期で大量の個体が死亡している現象が観察された。死亡に影響を与える要因として(1)個体サイズ,(2)近隣個体数(ローカル密度),(3)個体が生息する場所の局所的な性質を考え、2つの時期での死亡がそれぞれどのような要因によっておこったのかを検証した。  

その結果、死亡要因は時期によって異なり、夏はサイズ,密度依存的な死亡がおこったが、冬はその傾向は見られず、死亡は場所ごとにまとまっておこるといったサイト依存的死亡であった。

以上から、調査区の空間には生育可能なミクロサイト(safe site)がパッチ状に点在していると推測される。 

(2)共存平衡点の位置、及びその安定性は同一の関数により求めることが出来る。この関数は、2種の適応度の差と理解することが出来る。

用語解説:一回繁殖型植物:生涯に一度しか繁殖をせず、繁殖後は必ず枯死する植物:二年生草本:種子発芽から繁殖後枯死するまでの一世代の期間がおもに2年以内で終了する生活史を持つ草本:Safe site(生育適地):生物が生存,生育可能な場所.