高血圧医療政策のための数理モデル原案
高血圧による病気(脳卒中等)の発症を防ぐため、危険な高血圧の人は早めに
発見し、治療を施さなければならない。
しかし、医療費の経済的な制約も受ける。そこで、両者の適切な妥協点を探るための
数理モデルを作る。
モデルは、年令、血圧、治療の有無を状態変数としてコホートの状態変化を記述する
偏微分方程式を用いる。血圧は年令に関して指数的に上昇し、脳卒中の発症率は血圧と
年令のべき乗になっている。治療状態に移る遷移確率はある血圧以上の者の何割かが治
療を受けるというものにしている。
このモデルを元に、単位時間当たりの脳卒中発症数と、投薬人口(即ち医療費)とを
記述し、これらの適切な妥協点を探る。
また、病院で測定すると血圧が上がるという「白衣効果」の影響に関しても検討す る。
これを考慮に入れた測定値をどの程度に設定するかは、本当は高血圧ではないのに、
高血圧と診断されるもの(偽陽性)と、逆に、本当は高血圧なのに正常であると診断 され
るもの(偽陰性)との重みの設定によって決定される。
ここで、その解析は高血圧と診断する閾値付近のグレーゾーンの人の追跡調査のみに
よって可能であることが分かった。これにより、大幅な調査のコスト削減が実現され る。
現在、実際のデータからこれを試算する段階に入っている。