数理生物学研究室イメージイラスト
2001/11/20 13:30 -, at Room 3631

Differencial Adhesion でみる組織分離, 遺伝子発現状態でみるDifferenciation

九大・院・生物 高野良治

(1.細胞接着力による組織分離の条件を探る研究)
形態形成の過程において細胞集団の分離は新たな独立した組織を作るために不可欠で ある。私達は細胞接着力の変化だけでこのような細胞集団の分離が可能なのかという 問いに 注目して研究を行った。モデルは3種類の細胞(Black, White, Gray)を格子 空間上に仮定し、隣接する細胞 間にはその種類の組み合わせによって異なる大きさ の接着力が 働き、隣 接する2つ の細胞は全体の接着力を高くする方向に高い確率で その位置を入れ替えるものとし た。3種類の細胞を仮定しているため、ここでは6種 類の接着力がある。
以上のモデルの解析の結果、6つのパラメータを3つのパラメータを(α、β、γ) にまとめれることがわかり、組織分離に必要な条件をそれらを用いることによって明 解に示すことができた。さらにコンピュータシュミレーショ ンにより、それらの分 離条件を満たす中でもより短時間で分離を行うための条件につ いても理解すること ができた。また、α、β、γ は differntial adhesion とよばれる量でありこの値 は cell-sorting実験によって測定可能である。実際の形態形成過程でこの differential adhesionの値を計測できれば接着分子がどの程度形態形に寄与してい るのかを議論することが可能となる。
  (2.発生における分化の安定性の条件を探る研究)
発生過程を形態形成と細胞分化という両方の側面から捕らえることは重要であると思 われる。私達は細胞分化を遺伝子の発現状態の変化ととらえ、その変化を安定して実 現すに必 要な条件を探りたい。今回は、そのためのモデルと、簡単なシュミレーシ ョンの結果を提示し、それについ て考察する。