数理生物学研究室イメージイラスト
2001/12/11 13:30 -, at Room 3631

複合生活環進化の数理モデル~寄生虫はなぜ中間宿主をとるか~

九大・院・生物 和田 元樹

寄生虫には終宿主にのみ寄生するものや、中間宿主を必要とするもの、さらには複数 の中間宿主を必要とするものなど、寄生虫の種によって様々な生活環をとる。ここで は終宿主にのみ寄生するもの、中間宿主にも寄生するものの2種の寄生虫(もしくは 同種だが戦略の違いがある2種類の寄生虫)において、密度依存性を考え、それらの 個体数変動をみることにより最適な複合生活環を調べた。このとき密度依存性には2 通りの方法を用い、それぞれ終宿主に寄生するときのみにある場合と、終宿主だけで なく中間宿主への寄生のときにもある場合とで調べた。その結果、終宿主への寄生の みに密度依存性がある場合はどちらか一方の種(もしくは戦略)のみが生き残る、そ して終宿主だけでなく中間宿主への寄生でも密度依存性がある場合は2種が共存する こともあるということがわかった。最後に今後の課題、その他の生物への応用などを 検討する。