反応拡散モデルのスパイラルパターンと心臓の拍動異常
心臓は通常規則正しく拍動しているが、不整脈が起こると拍動
が速くなったり遅くなったりします。心室細動と呼ばれる極端な
不整脈状態では心臓の各部が無秩序に速く振動することが知られ
ています。この状態は放置すると死に至る危険な状態であり、
拍動を正常にもどすために、緊急処置として電気ショックが与え
られることがあります。
拍動が速くなる原因としてリエントリ-と呼ばれる興奮の核が
何らかの原因で生成されことが考えられています。反応拡散系の
スライラルパターンの中心核はこの興奮波のリエントリ-の役目
を果たしています。心室細動状態は興奮核が自発的に多数生成さ
れるスパイラルパターンのカオス化と似た興奮波動のカオス化現
象ではないかと考えられています。
AlievとPanfilovにより提案された2変数の反応拡散モデルの
計算機シミュレーションの結果を紹介し、スパイラルパターン
のカオス化の機構と、電気ショックなどに対応する外力を加え
ることにより、スパイラルカオスを除去する方法を考察します。
時間があれば、別の話題として、階層構造の自己組織化のモデル
の話を付け加えます。ロトカ-ボルテラ方程式のようなモデルを
使って、本来同等な多数のelementが相互競合の結果、階層的な
構造に分化することを示します。