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2026/5/15 15:00 -, at W1-C-909

局所適応の理論集団遺伝学

助教 坂本 貴洋

自然環境は場所によってしばしば異なり、多くの生物はそれぞれの局所環境において有利なアレルや形質を獲得することで適応している。このような局所適応は、種内の遺伝的多様性を生み出す重要な要因であり、そのダイナミクスを理解することは、進化生物学の基礎的理解だけでなく、農学や保全生物学などにおける応用上も重要である。局所適応に関する集団遺伝学における理論研究は古くから行われてきた。例えば、局所適応が安定に維持される条件が移住と自然選択の相対的な強さにより決定されることは、migration-selection balanceとして広く知られている。しかし、多くのモデルは決定論的なダイナミクス、2集団をはじめとする単純な集団構造、1遺伝子座モデルなどを仮定しており、現実の自然集団に見られる複雑な遺伝・集団構造や確率的要因を十分に反映していないという課題があった。私はこれまで、より現実に即した局所適応理論を構築することを目標に、これらの制約を緩和し、polygenicな形質による局所適応のダイナミクスや、連続的な空間などの複雑な集団構造の下での進化について理論研究を行ってきた。本セミナーでは、今までの私の研究に基づいて、polygenicな形質や空間構造の影響を理論的に取り扱う方法を紹介するとともに、局所適応の成立・維持に与える影響について議論する。